2015年08月08日
北村皆雄さん【映画監督・プロデューサー】の講義
ハジチに関しての講義に数時間だけ出席してきました。
食事をはさんで、おいとましてきました。
ありがたや、立正大学さま、北村皆雄さま。
北村さんのプロフィールはここです。
北村皆雄/Minao KITAMURA 【代表・映画監督・プロデューサー】
https://www.inacity.jp/shinoshokai/ina_jinzaibank/eiga_tv/minao_kitamura.html
それから、北村さんの会社のお仕事です。本当になんというか圧巻です。
http://www.vfo.co.jp/about_sakuhinreki.html
個人的な印象としては、偉ぶらなさすぎて、拍子抜けします。
映像民俗学という分野では、第一人者でないでしょうか。
良い意味でドライで博学。カッコいいおじさんです。
私が書くと、なんか妙な人物評価になりますね・・・。素敵な人です。
最近は
「南島残照 女たちの針突(ハジチ)
~沖縄・宮古諸島のイレズミ~」というDVDを発売されました。
1984年、沖縄本島と宮古諸島で撮影されたもの。
おばあたちが自らのハジチについて語った最後の映像記録だと思います。
今回の講義では、私がMさんと途中で入ったところ、大学院生?の男の子が質問をしていました。
言葉そのままではないですが「結婚すると財布はどういうかんじになるんですか」というようなことでした。
お名前は存じ上げないのですが、沖縄本島出身の研究者の方が答えていました。
「糸満は別会計。夫が漁に行って、魚を捕り、その魚を妻が買って、稼ぐ」
だそうです。
明らかに、経済は別経済である・・・とのこと。
家にふたつの財布があるのです。
別々の収入源ではなく、密接に結びついているあたりが面白いところです。
まさに協力体制です。
「生活力がある」と沖縄の女性を評していました。
宮古の場合は貨幣経済が「たかだか50年」と言っているのを聞いた事があったので、
いきなり質問をされた私はそう答えました。
私の印象としては、やはり宮古の女性はとてもよく働きます。
男の人は働かないと言われますが、そうでもありません。
でも、やはり女性の働き方は非常にバリエーションがある気がします。
良く頭も手も動きます。私もいつも見習わないとな〜と思っています・・・。
縄文、海民などなど、話が流れましたが、北村さんがおっしゃるに
「韓国の済州島、対馬の海女さんを見ても、女性の権限が強い」そうです。
そこから、結婚と経済の話になっていきました。
ある地域の話をしてくれました。
(てぼからいべ・・・と聞こえたけど、どうも間違いらしい。アジアのどこかですね)
その地域では「焼酎と着物一枚で女性が男性の家に行き、気が合えば結婚する」。
気が合わなければ、そのまま出て行くそうです。
それを7回繰り返したという夫婦がいたらしい。
「選択権は女性にある」とおっしゃっていました。
場所と時期をメモり忘れましたが、女性が大人になるということは
「17さいにお歯黒をつけるというにが唯一の機会」だそうです。
少し調べてみましたが、なかなか面白い歴史があるのですね。
http://www.po-holdings.co.jp/csr/culture/bunken/facial4/index.html
中国の雲南省でも世界でも類例がない「女性の家に男性が訪ねて行き、結婚が決まり、
娘に財産が継承される」という風習があるそうです。
また、早めに独立した部屋を与え、男性が訪ねてくるそうです。
その男性を迎えるかどうかは家族会議があるそうです。
また、子どもが生まれると、その母親の男兄弟がその子どもを育てるそうです。
いわゆる実の父親は自分の子どもに権限をもたない、というのが大きな特徴だそうです。
世界は広いですな。
そこから話はまた広がり、インドや中国の聞いた事もないような婚姻制度について話されていました。
きっと風土に合わせた成り立ちがあるのだと思います。
また、葬式についても話が出ました。
インドネシアのある地域では、兄弟の腰巻きを女兄弟が織るそうです。
そして、その腰巻きを葬式のときにかぶせる。
模様がハジチと似ていることから、親族の印とも言われているそうです。
あの世での行き先を迷わないように、とのこと。
「模様は、あの世へのパスポート」。そうか、そうなのか。
その後も、火に関する質問が生徒さんからありました。
おしらさま信仰の話へ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%89%E6%A7%98
また、護摩をたくのは、真言宗、曹洞宗に多い。
けがれをはらう意味があるんです、と。
火そのものは密教系が多いとのこと。
どっちにしても火は重要。
どんと焼きなどでもわかるように、生活に密接していた。
などなど。
福島では、いろりを女性器そのものの方言で呼ぶそうです。
「ほと」というらしいのですが。
そこで、姉かぶり、いわゆる女装をすることもあるそう。
いろりのまわりを夫婦が裸でまわるという祭りというか儀式もあるとか。
長野では、1/15に、いろりに向かって足を出させない日があり、
北村さん自身も子どもの頃に体験されたそうです。
台湾の葬式では芸能民と呼ばれる人がいて、墓で歌を歌う人がいるそうです。
泣き女に近いのですが、女性ではなく女装した男性。
「半陰半陽が完全体として考えられる地域もあり、男性でもなく女性でもない」
ことに価値をおいているようです。
その第三の性であるヒジュラーの話にふれました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%BC
芸能民は、男性性と女性性があいまっていることが、インドの密教やチベット仏教には良く現れるそうです。
男の神様と女の神様が合体している神がいて、存在そのものが「さとりの境地」らしい。
結婚における財布の話から、葬式まで、北村さんは第一次情報を自然に伝えてくれました。
時間があっという間に過ぎました・・・。
やはり、自分で目にしたものを語るのは説得力がありました。
いわゆる世界のあらゆる民族の生活を撮影し続けている、って、こういう事なのか・・・。
感慨深かったです。
んー、人の生活を撮るってことは、知らず知らずのうちに時代をアーカイブしていくことなのでしょうね。
Posted by 宮国優子 at 02:18│Comments(0)
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